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SASE図解ノート

SASE・SSE・ZTNAについて、会話で出てきた疑問を図で整理したページです。詳しい説明は、リポジトリの network-security/ 配下のノートにあります。

守る場所を本社からクラウドへ移す SASE

従来はすべての通信を本社に集めてから外へ出していました。SASEでは、社員や支店がどこにいても最寄りのクラウド拠点(PoP)で検査を受け、そこから目的地へ直行します。たとえると、お城の門番を街中の交番に置き換えるイメージです。

従来(境界型):すべて本社を経由 自宅のPC カフェのPC 支店 本社 VPN装置 ファイアウォール・プロキシ 社内システム ここに集中して混雑 Microsoft 365 SaaS インターネット VPN 本社から外へ SASE:最寄りのPoPで検査して直行 自宅のPC カフェのPC 支店 最寄りのPoP 最寄りのPoP 最寄りのPoP Microsoft 365 インターネット 本社の社内アプリ 自動で接続 検査後に直行 どのPoPでも同じルールでチェック(管理画面は1つ)
上が従来型、下がSASEです。違いは真ん中の列にあります。1か所の本社に集めるか、各地にあるPoPに分散させるかです。

通信の行き先ごとに担当が決まっている SWG / CASB / ZTNA / FWaaS

4つのセキュリティ機能は、どれも通信を「見る」ことも「止める」こともできます。違いは、どの行き先の通信を担当し、何を基準に判断するかです。

社員のPC 支店 エージェント トンネル SASEのPoP(SSEの4機能) SWGどこへ行くか(where) URL・カテゴリ・ダウンロードするファイル CASB何を・どう操作するか アップロード・共有・個人アカウント ZTNA誰が・どの端末で Aさんは経費システムOK、BさんはNG FWaaSどの通信か(NW) IP・ポート・プロトコル インターネット SaaS(M365等) 社内アプリ Web以外の全通信
点線の枠の中がSSEです。支店からPoPまでの運び方をSD-WANで管理すると、SASEになります。

SD-WANがあると、拠点の「運び方」が変わる SSE と SASE

セキュリティのレベルは、SSEでもSASEでも同じです。SD-WANが加わると、拠点からPoPまでの回線の使い方が賢くなります。在宅の社員にはほとんど違いがありません。

SSEだけ 支店 既存ルーター PoP(SSE) 光回線1本・手動で設定したトンネル SASE(SD-WANあり) 支店 SD-WAN機器 PoP 光回線A(今いちばん速い) 光回線B LTE/5G(予備) 回線の品質を常に測り、自動で切り替える・Teamsを優先する
回線が1本だけの拠点なら切り替えのメリットは小さく、SSEで十分なことが多いです。フレッツ光のIPoEとPPPoEのように、物理的には1本でも出口が2つあるケースもあります。

違いは「誰が接続を始めるか」 VPN と ZTNA

どちらもインターネットにつながっています。VPN装置は、社外のPCからの接続を受けるために、インターネットに向けて常に待ち受けています。ZTNAでは、PCもコネクタも自分から外へ接続しに行くだけです。待ち受けるのはZTNA事業者のクラウドで、ここは事業者が守ります。

VPN:会社の機器がインターネットに向けて待ち受ける 攻撃者 社外のPC VPN装置(本社) ポートを公開して待ち受け 社内システム 接続を始める スキャン・攻撃が届く 社内全体へ ZTNA:会社側は外へ接続しに行くだけ ZTNAのクラウド 待ち受けは事業者が守る 社外のPC コネクタ(社内) 攻撃者 外へ接続 外へ接続 ✕ 届かない
VPN装置は「誰からの電話にも出る代表電話」、ZTNAのコネクタは「自分から決まった相手にだけかける、着信拒否の電話」です。接続ができた後のデータは、どちらも双方向に流れます。

コネクタは先につないで待っている ZTNA の流れ

コネクタは、利用者が来る前からクラウドへ接続し、そのままつなぎっぱなしにしています。利用者が来ると、クラウドがその接続を通して知らせます。スマホのプッシュ通知と同じ仕組みです。

社員のPC ZTNAのクラウド コネクタ(社内) 経費システム ① 先に接続・つなぎっぱなし ② 接続・本人と端末の確認 ③ ①の接続で「お客さんです」 ④ 中継する キープアライブで接続を維持
色の帯が、コネクタが張ったままにしている接続です。③の知らせはこの接続の中を通るので、コネクタは外からの着信を待ち受ける必要がありません。

ZTNAは仕組み全体の名前で、コネクタはその部品の1つです。部品は、クライアント(PC)、ZTNAのクラウド(判断する頭脳)、コネクタ(社内)、IdP(Entra IDなど)の4つです。

判断するのは1か所、実行するのは各機能 条件による制御

端末やネットワークを条件にした制御は、ZTNAだけの機能ではありません。条件の判断は共通の仕組みが行い、その結果を4つの機能がそれぞれの持ち場で実行します。下の例は、同じ「私物のPC」という判断に対する各機能の動きです。

判断する役(共通) Entra IDの条件付きアクセス・SASEのポリシーエンジン・PCのエージェント(端末の状態を報告)
判断結果「私物のPC」を各機能へ ↓
ZTNA
経費システムにはつながせない
SWG
Webは見られるが、ダウンロードは禁止
CASB
M365はブラウザで閲覧だけ
FWaaS
リモートデスクトップの通信をブロック

出口ごとに見張り役がいる DLP

DLPは、データの中身(マイナンバー、顧客情報、「社外秘」ラベルなど)を見て、機密情報が外へ出るのを止める機能です。データの出口ごとに担当が違うので、1か所だけでは抜け道が残ります。基本の分担は、M365の中とPCはPurview、M365以外への通信はSASEです。

AさんのPC 顧客リスト.xlsx ラベル:社外秘 Purview DLP メール・M365の中 エンドポイントDLP PC上の操作(Purview) SASEのDLP SWG・CASB(M365以外) ✕ メールで社外へ ✕ SharePointで外部共有 ✕ USBメモリへコピー ✕ 個人のGoogleドライブ ✕ 生成AIへ貼り付け
どの経路でも、①中身を見て機密情報を見つけ、②記録・警告・ブロックのどれかを行い、ログに残します。PurviewとSASEで同じルールを二重に作らず、「何を機密とするか」の基準は秘密度ラベルでそろえるのがコツです。
アクションの強さ内容利用者から見ると
記録だけログに残すだけ。導入の最初はここから何も起きない
警告理由を書けば続行できるようにもできる「機密情報が含まれています」と表示される
ブロック送信・アップロード・コピーを止める操作できない

SASEのDLPは、HTTPSの中身を見るためにSSL/TLS検査が前提です。画面の撮影やパスワード付きZIPのように、中身が見えないものはDLPでは止められません。

Veronaに当てはめると 網屋 Verona

Veronaは、網屋が提供している国産のフルマネージドSASEです。構成要素を、ここまでの図に当てはめると次のようになります(公開情報をもとにした整理です)。

Veronaの構成要素役割図でいうと
Verona ClientPCに入れるソフト社員のPCのエージェント
Verona SASEセキュリティとネットワーク機能を提供するクラウド基盤PoP・ZTNAのクラウド
Verona Edge拠点に置く機器SD-WAN機器(コネクタの役割も持つかは要確認)
Verona Cloud管理画面・設定・ログ判断する役・一元管理

特徴のダイナミックポートコントロールは、認証に成功した端末にだけ入口を開ける仕組みです。「外から入口を見せない」という点で、VPNとZTNAの図の下半分と同じ狙いです。どこまで閉じているかは、網屋への質問リストに入れています。

拠点に置く機器は、基本2台 Verona Edge

支店では、回線事業者のONU(光回線の終端装置)とVerona Edgeの2台が基本です。Verona Edgeは今のルーターの代わりになり、網屋によると配下のPCなどの設定変更は不要です。在宅勤務はPCにVerona Clientを入れるだけで、機器は増えません。

Verona SASE (クラウド) 支店:既存ルーターと置き換え(基本・2台)PC・複合機スイッチ・Wi-FiVerona EdgeONUインターネット経由支店:既存ルーターの配下に置く(3台)PC・複合機スイッチ・Wi-FiVerona Edge既存ルーターONUルーターが二重になる在宅勤務:追加の機器なしPC+Verona ClientWi-Fi自宅ルーター本社・データセンター:社内システムの入口社内システムスイッチVerona EdgeONU外へ接続しに行くコネクタの役割(要確認)
線はケーブルやWi-Fiでつながっている順番です。青緑の矢印は、どの場所もインターネット経由でVerona SASEへ自分から接続しに行くことを表します。本社の点線のVerona Edgeは、公開情報では確認できていない部分です。

NTTのホームゲートウェイのように、ONUとルーターが1台になった機器もあります。見た目は2台でもルーターが二重になるので、設定の確認が必要です。台数を見積もるときは、支店の数、社内システムがある場所の数、冗長化(2台構成)が必要な拠点の数を数えます。