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DLP(Data Loss Prevention)とは? SASEとPurviewの使い分け

最終確認: 2026-09-29
SASEの全体像に戻る ・ Purviewの全体像

30秒で復習

  • DLP(ディーエルピー)=機密情報が、意図せず・不正に社外へ出ていくのを見つけて止める仕組み。 日本語では「データ損失防止」「情報漏えい対策」。
  • 仕組みは「見つける(検出)」と「止める・知らせる(アクション)」の2段階。
  • 検出方法:マイナンバー・クレジットカード番号などのパターン、キーワード、登録した文書との一致、機械学習、秘密度ラベル。
  • アクション:記録だけ → 警告(理由を書けば続行可)→ ブロック、と段階的に強くできる。
  • DLPは単独の製品というより「機能」。PC・メール・M365・SASE(SWG/CASB)など、通信やデータが通る場所ごとに入っている。
  • 導入はいきなりブロックせず、記録だけのモードから始めて誤検知を調整するのが定番。

質問:DLPとは?

答え: 社員のうっかりミス(宛先を間違えたメール、個人のクラウドストレージへのアップロード)や、退職予定者による持ち出しなどから、機密情報が外へ出ていくのを防ぐ仕組み。「データの中身」を見て判断するのが、URLやIPアドレスで判断するSWG・FWaaSとの違い。

仕組み:見つける → 止める

データが動く(送信・アップロード・コピー・共有)
      ↓
① 見つける:中身に機密情報が含まれるか?(マイナンバー、カード番号、「社外秘」ラベル…)
      ↓ 含まれていたら
② アクション:記録する/警告する/ブロックする/暗号化する/管理者に通知する

見つける方法

方法 内容 例
パターン一致 決まった形式の番号を探す(チェックデジットなども確認) マイナンバー、クレジットカード番号、口座番号
キーワード 特定の単語を探す 「社外秘」「極秘」「プロジェクト名」
文書の指紋(フィンガープリント) 登録したひな形や文書に似ているかを見る 契約書のひな形、設計書
データの完全一致(EDM) 顧客名簿などのデータベースと一致するかを見る 顧客リストの一部を貼り付けた
機械学習の分類 文書の種類を学習済みモデルで判定する 履歴書、ソースコード、財務書類
秘密度ラベル 付いているラベルで判断する 「機密」ラベルのファイルは社外へ送れない

アクション(段階的に強くできる)

強さ アクション 利用者から見ると
弱 記録(監査)だけ 何も起きない。管理者がログで確認する
中 警告(ポリシーヒント) 「機密情報が含まれています」と表示される
中 警告+理由を書けば続行 業務上必要なら理由を書いて送れる(記録が残る)
強 ブロック 送信・アップロードができない

質問:DLPはどこで動く?

答え: データや通信が通る場所ごとにDLPがある。1か所だけでは抜け道が残るので、組み合わせて使う。

場所 見張るもの 代表例
PC(エンドポイントDLP) USBメモリへのコピー、印刷、PC上のアプリへの貼り付け、ブラウザからのアップロード Purview エンドポイントDLP
メール 添付ファイルや本文に機密情報を含むメールの送信 Purview(Exchange Online)
M365の中(保存場所) SharePoint・OneDrive・Teamsでの外部共有 Purview DLP
通信の途中(SASE) Webへのアップロード、フォーム送信、他社SaaSへの送信 SWG・CASB(インライン型)のDLP
SaaSの中(API) Box・Salesforce等に保存済みのファイルの共有設定 CASB(API型)のDLP

質問:Purview の DLP と SASE の DLP はどう使い分ける?

答え: 得意な場所が違う。M365の中とPCはPurview、M365以外への通信はSASEが基本の分担。

観点 Purview DLP SASE(SWG・CASB)のDLP
得意な場所 M365の中(メール・SharePoint・OneDrive・Teams)、Windows/MacのPC インターネット・M365以外のSaaSへの通信
判断材料 秘密度ラベルと連携しやすい。暗号化されたファイルの中身も分かる 通信の中身(SSL/TLS検査が前提)
苦手なこと M365以外のサービスへの送信(ブラウザ経由はエンドポイントDLPで一部対応) SSL検査の対象外にした通信、PC上の操作(USB・印刷)
例 「機密」ラベルのファイルを社外の人と共有させない 個人のGoogleドライブや生成AIサービスへ顧客リストを貼り付けさせない

注意: 両方に同じようなルールを作ると、二重にブロックされたり、ログが2か所に分かれて調査が大変になったりする。どちらで止めるかを決め、判断基準(何を機密とするか)はそろえる。秘密度ラベルを共通の目印にすると、両方で同じ基準を使いやすい(SASE製品がラベルを読めるかは要確認)。

質問:導入するときの注意点は?

  • 誤検知が必ず出る:たとえば12桁の数字がすべてマイナンバーとは限らない。最初は「記録だけ」で動かし、ログを見てルールを調整してから警告・ブロックへ進める。
  • SASEのDLPはSSL/TLS検査が前提:HTTPSの中身が見えないとDLPは効かない。検査の対象外にしたサイトは素通りになる。
  • 止めすぎると業務が止まる:ブロックしすぎると、社員が抜け道(私物スマホで撮影など)を探し始める。「警告+理由を書けば続行」を上手に使う。
  • 「何を守るか」を先に決める:個人情報、顧客リスト、設計書など、守りたい情報と、その情報がどこにあるかを先に洗い出す。技術より先に、情報の分類ルールが必要。
  • DLPでも防げないもの:画面の撮影、紙への書き写し、暗号化・圧縮で中身を隠したファイル(パスワード付きZIPなど)。ブロックや監視を組み合わせる。

具体例

営業のAさんが、顧客リスト(Excel、「社外秘」ラベル付き)を扱う場合:

  1. 社外の取引先にメールで送ろうとする → Purview:「社外秘のファイルです」と警告し、送信をブロック
  2. 個人のGoogleドライブにブラウザからアップロードしようとする → SASE(CASB/SWG):個人アカウントへのアップロードとしてブロック
  3. USBメモリにコピーしようとする → Purview エンドポイントDLP:ブロック
  4. 中身をコピーして生成AIサービスに貼り付けようとする → SASE(または エンドポイントDLP):顧客情報のパターンを検出してブロック
  5. どの操作もログに残るので、あとから誰が何をしようとしたかを確認できる

確認したいこと

  • 自社で「機密」とする情報は何か。秘密度ラベルの運用はどこまで進んでいるか
  • Purview DLP のライセンス(エンドポイントDLPを含むか)と、今のルールの状況
  • Verona のDLP機能の有無と、秘密度ラベルを読めるか(Veronaの概要)
  • 生成AIサービスへの貼り付けをどう扱うか(禁止か、会社契約のサービスだけ許可か)

参考資料