SASE(Secure Access Service Edge)の全体像¶
最終確認: 2026-09-29
30秒で復習¶
- SASE(サシー)=ネットワーク機能とセキュリティ機能を、クラウドからまとめて提供する考え方。 2019年にGartnerが提唱した。
- ネットワーク側:SD-WAN(拠点間・クラウドへの通信経路を賢く制御)
- セキュリティ側(SSE):SWG・CASB・ZTNA・FWaaS など
- 背景:クラウド利用とリモートワークで、「社内データセンターを経由して守る」従来型が非効率になった。
- 覚え方:「守りの壁を本社から、ユーザーの近くのクラウドへ移す」
用語の正式名称と読み方¶
| 略語 | 正式名称 | 読み方(よく使われるもの) |
|---|---|---|
| SASE | Secure Access Service Edge | サシー |
| SSE | Security Service Edge | エスエスイー |
| SD-WAN | Software-Defined Wide Area Network | エスディーワン |
| SWG | Secure Web Gateway | エスダブリュージー |
| CASB | Cloud Access Security Broker | キャスビー |
| ZTNA | Zero Trust Network Access | ゼットティーエヌエー |
| FWaaS | Firewall as a Service | エフダブリューアース |
| PoP | Point of Presence | ポップ |
質問:SASEとは?¶
答え: ユーザーや拠点がどこにいても、近くのクラウド拠点(PoP)を経由して、同じセキュリティポリシーで安全にインターネット・SaaS・社内アプリへ接続させる仕組み。製品名ではなく、アーキテクチャ(設計の考え方)の名前。
従来型との違い¶
| 観点 | 従来型(境界型) | SASE |
|---|---|---|
| 守る場所 | 本社・データセンターの出入口(ファイアウォール等) | クラウド上のPoP(ユーザーの近く) |
| リモートユーザー | VPNで本社に入ってからインターネットへ | 近くのPoPから直接接続 |
| 通信経路 | 本社に集約(ヘアピン)→遅い・回線が逼迫 | 最短経路で接続 |
| 信頼の考え方 | 社内ネットワーク=信頼 | ゼロトラスト(毎回ユーザー・端末を検証) |
| 管理 | 拠点ごと・機器ごとに設定 | クラウドの管理画面で一元管理 |
イメージ(たとえ話)¶
- 従来型=お城の門番:大事なものは全部城の中にあり、外の社員は地下トンネル(VPN)で城に入ってから外へ出る。クラウドへ行くにも本社を経由するので渋滞する。
- SASE=街中の交番:門番を城から出して街のあちこち(PoP)に配置する。どこにいても一番近い交番で同じルールのチェックを受け、目的地へ直行できる。
- VPN=城のマスターキー(一度入ればどの部屋にも行ける)、ZTNA=ホテルのカードキー(自分の部屋だけ、入るたびにチェック)。
質問:SASEを構成する主な機能は?¶
| 機能 | 役割 | ひとことで |
|---|---|---|
| SD-WAN | 複数回線を使い分け、拠点からの通信を最適な経路に流す | 通信の交通整理 |
| SWG(Secure Web Gateway) | Webアクセスを検査し、危険なサイトやマルウェアを遮断 | Webの関所 |
| CASB(Cloud Access Security Broker) | SaaSの利用状況を可視化・制御(シャドーIT対策、データ持ち出し制御) | クラウドサービスの見張り番 |
| ZTNA(Zero Trust Network Access) | 社内アプリへ、許可されたアプリ単位でのみ接続させる(VPNの置き換え) | アプリごとの通行証 |
| FWaaS(Firewall as a Service) | クラウド上で提供されるファイアウォール | クラウド版ファイアウォール |
多くの製品ではDLP(情報漏えい対策)やRBI(リモートブラウザ分離)なども含まれる。
4つのセキュリティ機能の整理(行き先と見る観点)¶
4つとも「見る(可視化)」と「止める(制御)」の両方ができる。違いはどの通信を対象に、何を基準に判断するか。
| 機能 | 対象の通信(行き先) | 判断の基準 | ひとことで |
|---|---|---|---|
| SWG | インターネット(Web) | どこへ行くか(URL・カテゴリ)+何を持ち込むか | Webの関所 |
| CASB | SaaS(M365・Box等)の中 | 何を・どう操作するか(アップロード・共有・ダウンロード) | クラウドの見張り番 |
| ZTNA | 社内アプリ | 誰が・どの端末で・どのアプリへ | アプリごとの通行証 |
| FWaaS | Web以外も含むすべての通信 | どの通信か(IP・ポート・プロトコル・アプリ) | 全通信の通行規制 |
質問:SSEとの違いは?¶
答え: SSE(Security Service Edge)=SASEからネットワーク部分(SD-WAN)を除いた、セキュリティ機能だけの部分。 2021年にGartnerが定義した。
SASE = SD-WAN(ネットワーク) + SSE(SWG / CASB / ZTNA / FWaaS)
まずSSEを導入してリモートアクセスとWeb・SaaSの保護を固め、後からSD-WANを統合する、という段階的な進め方が多い。
詳しくはSSEとは? SASEとの違いを参照。
具体例¶
在宅勤務の社員が Microsoft 365 と社内の経費精算システムを使う場合:
- PCのエージェントが近くのSASEのPoPへ接続する
- Entra ID などでユーザーを認証し、端末が管理対象か・OSが最新かを確認
- Microsoft 365 へは SWG/CASB で検査したうえで直接接続(本社を経由しない)
- 経費精算システムへは ZTNA でそのアプリだけに接続を許可
- 機密ファイルを個人のクラウドストレージへアップロードしようとすると DLP/CASB がブロック
代表的なサービス例¶
- Microsoft:Global Secure Access(Entra Internet Access / Entra Private Access)… Microsoft版のSSE
- 網屋:Verona … 国産のフルマネージドSASE(→ Veronaの概要)
- Zscaler、Netskope、Palo Alto Networks(Prisma SASE)、Cisco、Fortinet、Cloudflare など
関連メモ¶
- SASE図解ノート(HTML):従来型とSASE、4つの機能、SSEとSASE、VPNとZTNA、コネクタの仕組み、DLP、拠点の機器構成を図で整理(公開版)
- SSEとは? SASEとの違い
- SWG(Secure Web Gateway)とは?
- CASB(Cloud Access Security Broker)とは?
- ZTNA(Zero Trust Network Access)とは? VPNとの違い
- FWaaS(Firewall as a Service)とは?
- SASEの認証と、端末・ネットワークによる制御
- SASE導入時の設計ポイント:社外の通信とプロキシ廃止
- DLP(Data Loss Prevention)とは? SASEとPurviewの使い分け
- Verona(網屋):国産のフルマネージドSASE
確認したいこと¶
- 自社のSASE/SSE導入の目的は何か(VPNの置き換え、プロキシの置き換え、拠点の回線整理など)
- どこから始めるか(SSEだけか、SD-WANまで含めるか)