攻撃の全体像?攻撃者は何を狙い、どう進めるのか
2026-10-28 更新約7分で読めます
最終確認: 2026-10-28
30秒で復習
- 攻撃者の目的はほぼ4つ:お金(身代金・詐欺)、情報(盗んで売る・スパイ)、妨害(サービスを止める)、踏み台(ほかの攻撃に使う)。
- 手口は大きく4種類:マルウェア(悪いプログラム)・スパムとフィッシング(人をだます)・不正アクセス(入口を破る)・DoS 攻撃(止める)。実際の攻撃は、これを組み合わせて使う。
- 攻撃は段階を踏んで進む:下見 → 侵入 → 居座り → 権限を上げる → 横に広げる → 目的を果たす(サイバーキルチェーン)。
- 入口になりやすいのは、メール(人)・パスワード・更新していない機器(VPN 装置など)。
- 守りは1つに頼らず重ねる(多層防御):入口を減らす・侵入されても広げない・早く気づく・戻せるようにする。
- 覚え方:「下見して、入って、居座って、偉くなって、広げて、奪う」
こんな場面で出会う
- ニュースで「ランサムウェアで工場が停止」「取引先を装ったメールで送金」と見る
- 情報処理推進機構(IPA)の「情報セキュリティ10大脅威」を社内の研修で見る
- セキュリティ製品の資料に「キルチェーンのどこで止めるか」「MITRE ATT&CK に対応」と書いてある
用語の正式名称と読み方
| 用語 |
読み方・正式名称 |
意味 |
| マルウェア |
malware |
悪意のあるソフトウェアの総称。ウイルス・ランサムウェアなど |
| フィッシング |
phishing |
本物そっくりのメールやサイトで、パスワードやお金をだまし取る手口 |
| 不正アクセス |
— |
権限のない人が、他人のアカウントや脆弱性を使ってシステムに入ること |
| DoS 攻撃 |
Denial of Service(ドス) |
大量の通信などで、サービスを使えなくする攻撃 |
| DDoS 攻撃 |
Distributed Denial of Service(ディードス) |
たくさんの機器から一斉に行う DoS 攻撃 |
| サイバーキルチェーン |
Cyber Kill Chain |
攻撃を、下見から目的達成までの段階に分けて考える見方 |
| 横展開 |
ラテラルムーブメント |
侵入した1台から、社内のほかのサーバーや PC へ広げること |
| 権限昇格 |
— |
普通のユーザーの権限から、管理者の権限を手に入れること |
| C2 |
Command and Control(シーツー) |
感染した PC に命令を出す、攻撃者のサーバー |
| 多層防御 |
— |
1つの守りが破られても次で止まるように、守りを重ねる考え方 |
質問:攻撃者は何が目的?
答え: 今の攻撃の多くはお金目的の「ビジネス」。だから、もうかる相手・入りやすい入口が狙われる。
| 目的 |
具体的には |
よく使う手口 |
| お金 |
身代金(ランサムウェア)、送金詐欺、盗んだ情報やアカウントの販売 |
マルウェア、フィッシング、BEC |
| 情報 |
設計図・顧客情報・メールを盗む(スパイ活動も) |
不正アクセス、長期間の潜伏 |
| 妨害 |
サイトやサービスを止める、抗議・嫌がらせ |
DoS 攻撃、データの破壊 |
| 踏み台 |
乗っ取った PC・サーバー・IoT 機器を、ほかの攻撃やスパム送信に使う |
ボット、乗っ取ったメールアカウント |
- 攻撃は分業されている。入口だけを売る人、ランサムウェアを貸し出す人(RaaS)、交渉する人、と役割が分かれている。だから中小企業も普通に狙われる。
質問:攻撃はどんな流れで進む?
答え: いきなり目的を果たすのではなく、下見から段階を踏む。どこか1段で止められれば、被害は小さくできる。
| 段階 |
攻撃者がすること |
守り(このサイトのノート) |
| ① 下見 |
公開情報・社員の名前・公開サーバーやVPN装置を調べる |
外から見える機器の棚卸し |
| ② 侵入 |
フィッシング、盗んだパスワード、更新していない機器の弱点 |
MFA、パッチ、メール対策 |
| ③ 居座り |
マルウェアを置き、C2 とつなぐ。再起動しても動くようにする |
EDR、SWG で C2 への通信を止める |
| ④ 権限昇格 |
管理者のパスワードやハッシュを盗む |
管理者は別アカウント・Protected Users |
| ⑤ 横展開 |
Pass-the-Hash・Kerberoasting でほかのサーバーへ |
ネットワークを分ける、ZTNA、gMSA |
| ⑥ 目的達成 |
データを持ち出す、暗号化して脅す、サービスを止める |
DLP、オフラインのバックアップ |
質問:4つの手口はどう違う?
答え: 何を狙うかで分けると覚えやすい。マルウェアと不正アクセスは「中に入る」、フィッシングは「人をだます」、DoS は「止める」。
| 手口 |
ひとことで |
主に壊されるもの |
くわしく |
| マルウェア |
悪いプログラムを動かす |
機密性・完全性(盗む・暗号化する) |
マルウェアとは |
| スパム・フィッシング |
メールなどで人をだます |
機密性(パスワード・お金) |
スパムとフィッシング |
| 不正アクセス |
入口を破って入る |
機密性・完全性 |
不正アクセスとは |
| DoS 攻撃 |
大量の通信で止める |
可用性(使えること) |
DoS・DDoS攻撃とは |
- 「機密性・完全性・可用性」は、守るべき3つの性質(CIA)。漏れない・書き換えられない・止まらない。
質問:守る側はどう考えればいい?
答え: 「入られない」だけでなく「入られても広がらない・すぐ気づく・戻せる」まで考える。
| 考え方 |
やること |
| 入口を減らす |
MFA(できればパスキー)、外から見える機器を減らす、すぐパッチ |
| 入られても広げない |
管理者権限を分ける、ネットワークを分ける、ゼロトラスト(ZTNA) |
| 早く気づく |
EDR、ログを集めて見る、怪しいサインインの通知 |
| 戻せる |
書き換えられないバックアップ、復旧の手順と訓練 |
| 人を助ける |
「怪しいと思ったら報告」をしやすくする(責めない) |
具体例
| よくある被害の流れ |
どこで止められた? |
| 請求書を装ったメール → 添付を開く → 情報を盗むマルウェア → 盗んだパスワードで VPN にログイン → 管理者を乗っ取る → 全サーバーを暗号化 |
メールの添付を止める/VPN に MFA/管理者を分ける/オフラインのバックアップ |
| VPN 装置の古い弱点を突かれる → 社内に侵入 → データを持ち出して脅迫 |
VPN 装置のパッチ/外から見える機器の棚卸し |
| 取引先のメールが乗っ取られ、「振込先が変わりました」と連絡が来る |
振込先の変更は電話で確認する決まり |
関連メモ
確認したいこと
- 会社で、外から見える機器(VPN 装置・公開サーバー)の一覧はあるか。パッチは誰が当てているか
- 管理者の作業用アカウントと、普段のアカウントは分かれているか
- バックアップは、攻撃者に消されない場所(オフライン・書き換え不可)にあるか
- 「怪しいメールを開いてしまった」ときの報告先は決まっているか
参考資料